こんにちは、池ちゃんです。

冒頭ムラサキツユクサの花
 

  関東・甲信越地方が6日から梅雨に入りました。昨年より8日も早く、しかも西日本や東海地方よりも早いという異例の梅雨入りです。梅雨明けは7月半ば頃の予報ですが、大雨の発生、とりわけ線状降水帯による被害が発生しないことを祈るばかりです。

 6日からの梅雨入りを予想した訳ではありませんが、前日の5日の早朝いつもより遠出をして、住宅地の下方に広がる谷津田の向こう側の雑木林の林縁を散策しました。久しぶりに訪れたこの場所では、梅雨前の色々な初夏の山野草の花々を楽しむことができました。ムラサキツユクサの群落の様子(6/5筆者撮影、以下同様)

 

◇ 谷津田と雑木林の林縁の様子

 住んでいるところは、殖産住宅㈱が50年以上も前に、谷津地形を改造して造った戸数約600戸の団地です。団地の最上部にある京成電鉄ユーカリが丘駅の南側の斜面に住宅地が広がっており、その下部には広い整備された谷津田が広がっています。この辺りは、印旛沼に注ぐ手繰川の支流の流域地域です。この日はその谷津田の向こう側の雑木林の林縁を一周しました。 

谷津田と林縁の様子


◇ コヒルガオの花

 林縁には、コヒルガオの花があちこちで咲いていました。コヒルガオ(小昼顔)は、昔から本州~九州の各地の草地などに自生するヒルガオ(昼顔)の一種で、ヒルガオ科ヒルガオ属のつる性の多年草です。ヒルガオは、中国からの帰化種であるアサガオ(朝顔)異なり、日中に花を咲かせ、夕方閉じ1日花です

コヒルガオの花

 コヒルガオは、ヒルガオよりも葉や花が全体が小ぶりなことからその名があります。また、コヒルガオの花期は5~8月で、ヒルガオの6~8月より早いのが特徴です。花の形はヒルガオ特有の5角状の漏斗形をしており、3~4cmほどの大きさの薄紫色の花を咲かせます

◇ ムラサキツユクサの花 

 ムラサキツユクサ(紫露草)が群落を作っていました。ムラサキツユクサは、ツユクサ科ムラサキツユクサ属の多年草です。ツユクサの名前が付いていますが、日本固有のツユクサとは異なる別種の植物です。原産地はカナダからアルゼンチン北部で、17世紀にヨーロッパに伝わり現在世界各地で野性化していると言われます。

ムラサキツユクサの花
 ムラサキツユクサの花期は5~7月で、株の中心部から草丈50cmほどの多数の茎を立ち上げ、上部に花序を形成して鮮やかな紫色の花を咲かせます。花径は2~3cmほどで均等に広がる3枚の花弁を持ち、中央に黄色の葯が目立ちます。ツユクサと同様に一日花ですが、花の印象はかなり違います。

◇ クサノオウの花

 クサノオウ(草の黄)の花も咲いていました。クサノオウは、日本各地の野原や林縁に自生するケシ科クサノオウ属の一年草(越年草)です。前年の秋に飛び散った種子がすぐに発芽して根出葉から成るロゼットを形成して越冬します。

クサノオウの花

 花期は5~7月で、花径が2cmほどの大きさの鮮やかで美しい4弁の花を咲かせます。クサノオウは、アルカロイドを含む有毒成分を持っていますが、その一方で多くの薬効を持ち、古くから皮膚疾患などの民間療法に用いられてきたと言われます。このため薬草の王様の意味の「草の王」の別名を持っています。

◇ コゴメギクの花

 クサノオウの咲いていたすぐ近くに、白い米粒位の大きさの小さな花が沢山咲いていました。コゴメギク(小米菊)という外来種の菊の一種です。コゴメギクは、南アメリカが原産のキク科コゴメギク属の一年草です。

コゴメ菊の花

 昭和初期に神戸で報告され、今では全国に帰化している野草です。頭花は直径が5㎜位の大きさで、周りに先端が3つに裂ける白色の舌状花が5個並び、内側に黄色の筒状花がまとまって付いています。

◇ ヤマアジサイの花

 淡い紫色のアジサイの花が咲きかけていました。ヤマアジサイ(山紫陽花)のようです。ヤマアジサイは、太平洋側の福島県から四国、九州の林や渓谷沿いに成育するアジサイ科アジサイ属の落葉低木です。花は中央から外側に向かって咲き、縁に沿って装飾花を付けるガクアジサイと同じ「ガク咲き」となります。

ヤマアジサイの花

 ヤマアジサイは、ガクアジサイよりも小さく、野趣に富んだ樹形をしており、地域によって花色や花形には変異が多いと言われています。そう言えば、普通のガクアジサイとは少し様子が違います!

◇ 林縁のホタルブクロの群落の様子

 林縁をしばらく行くと、ホタルブクロ(蛍袋)の大きな群落に出会いました。これほど大きなホタルブクロの群落にであったことは今までありません。本日の一番大きな収穫はこのホタルブクロの花々との出会いです。

ホタルブクロの群落

 ところで、ホタルブクロの名前の由来には2つの説があります。その1は、ホタルの見られる季節に子供がこの花の中にホタルを入れて遊んだと言うものです。その2は、花の形が提灯の古い呼び名の「火垂袋」に似ているからいうものです。いずれにしてもこの花にふさわしい名前ですね

◇ ヤマホタルブクロの花

 ホタルブクロはキキョウ科ホタルブクロ属の多年草です。日本固有の植物で全国各地の山野や草原等の日陰に自生しています。花期は5月下旬7月で、長く伸ばした花茎の上部に釣り鐘状の花を下向きに数輪咲かせます。花の長さは4~6cmで、先端部が5つに裂けています。

ヤマホタルブクロの花
  ホタルブクロの花の色は関東の自生種は赤紫色が多く、関西では白色が多いと言われています。また、今回見たホタルブクロの花は、花の基部のガク片の間が盛り上がった特異な形をしており、67月に開花するヤマホタルブクロというホタルブクロの変種だということがわかりまた

◇ ドクダミの花

 この季節、林縁ではドクダミ(毒溜)も大きな群落を作っています。ドクダミは、日本から東南アジアに広く分布するドクダミ科ドクダミ属の多年草です。湿り気のある陰地を好み、今や住宅地の付近や道端・山野などいたるところで見られます。今最も生命力に溢れている野草はドクダミかもしれません!  ドクダミの別名は“十薬”で、ゲンノショウコ、センブリと並んで、三大民間薬の一つとして知られています。ハーブ茶として知られる「爽健美茶」の原料などにも使われています。

ドクダミの花

 ドクダミは、初夏から夏にかけ、草丈20~50cm程の茎の頂に2~3cm位の花びらに似た十字状の苞を付けます。苞の中央に長さ1~3cmの穂のような花序を出し、淡黄色の小さな花を密集させます。茎が目立たたない黒紫色なので、まるで白い花が浮いているように見えるのが特徴です。
  ドクダミの名前について諸説がありますが、毒を抑える意味での「毒矯めが転訛したというのが通説です。

◇ ツユクサの花
 ツユクサ(露草)の花はまだ少ししか見られませんでした。ツユクサは、古くから日本各地の草地などに自生するツユクサ科ツユクサ属の1年草です。花期は6~9月で立ち上がったの先に1.5~2cmほど大きさの青紫色の3弁花を咲かせます 

ツユクサの花

 花弁は、上の2枚が青紫色で大きく、下の1枚は無色で小さいので、花弁は2枚にしか見えません。5本ある雄しべのうちの2本が長く下に突き出ているのが特徴です。ツユクサは、き始め午後にはしぼんでしまう1で、その花の様子朝露を連想させることからこの名前が付けられと言われています。

◇ オオバコの花
 林縁を過ぎた辺りの谷津田のそばの農道の脇には、オオバコ(大葉子)が繁茂しています。オオバコ(大葉子)は、日本各地やアジアにかけて広く分布するオオバコ科オオバコ属の多年草です。葉は全て根生し、卵形または広卵形をしています。根生葉の間から高さ10〜20cmの花茎を数本のばし、小さな花を穂状にびっしりと咲かせます 

オオバコの花

 オオバコの花期は4〜9月と長く、花は4個の萼片と1個の苞に包まれていて、花序の下から上に咲き上がります。「大葉子」とは 幅の広い葉っぱ」の意味で、葉や茎には踏みつけても適応できる丈夫な維管束が発達しており、適度な踏みつけによって生き延びることができる(いわゆる「踏み跡植物」)としての特質を備えています。オオバコも民間の薬用植物として知られています。

 

◇ 土地改良事業の竣工記念碑と整備された谷津田の様子 

記念碑

 谷津田の山際の農道の中程には昭和58年3月に建立された御影石の立派な「矢橋工区竣工記念碑」が建っています。もともとこの辺りは湿田で耕作に不便であったことから、土地改良区が圃場整備整備事業を実施したものです。

整備された谷津田
 この工事は、印旛沼からポンプアップされた灌漑用水を使っパイプラインによる自動給水と地下排水という当時最先端の土地改良事業で、併せて大規模圃場への区画整理や交換分合が実施され、近代的な農地に生まれ変わりました。また、農業用に使われなくなった手繰川の支川は、巨大なコンクリート製のU字型の排水路に衣替えされ、下流の手繰川に注いでいます。

 それでは、今回の投稿はこれで終わらせていただきます。